大阪地方裁判所 昭和28年(ワ)3395号 判決 1955年12月06日
原告 株式会社岸本商店
被告 森電機工業株式会社
主文
被告は原告に対し別紙目録<省略>記載の物件を引渡せ。
訴訟費用は被告の負担とする。
この判決は、原告において、金三五万円の担保を供するときは仮に執行することができる。
事実
原告訴訟代理人は主文第一、二項同旨の判決並びに仮執行の宣言を求め、その請求の原因として、
原告会社は鉄網二次製品の卸売を、被告会社は電気設備器具類の卸売を営むものであるが、原告会社は昭和二七年五月頃から被告会社との間に商品の販売等の取引を開始し、またその間被告会社に対して運転資金を貸与し、右販売代金並びに貸付金の支払を受ける、為に被告会社振出に係る約束手形並びに小切手の交付を受け、同年一〇月二七日現在合計金三〇、六六二、三五六円の約束手形並びに小切手債権を有するに至つた。
そこで、原告会社は被告会社に対する右債権担保の為昭和二七年一〇月二七日被告会社代表取締役岩井邦平と次のような約旨の契約を締結した。
(1) 被告会社は、原告会社に対し右同日現在においてその所有する在庫商品一切を市価の七割の価格にて売渡す。
(2) 原告会社は爾後右商品を販売の為被告会社に寄託し、被告会社がこれを他に販売する際には市価の八割の価額で被告会社に対し売戻す。
(3) 被告会社が在庫商品を他に販売し、これが為に在庫商品に減量を生じたときはこれを補充し契約当時の在庫商品の価格を維持する。
(4) 被告会社が経営不能となり、在庫商品を販売し得なくなつたときは当然前記寄託契約は消滅し、被告会社は在庫商品一切を原告会社に対し引渡す。
ところが、被告会社はその後昭和二七年一二月頃になつて経営不能に陥つたので、前記約旨に基き原告会社に対し在庫商品の一部である別紙目録記載の物件の引渡義務を負担するに至つたものであるし、仮に右約がなかつたとしても、被告会社は前記債権の最終弁済期である昭和二八年二月八日が経過しても、その支払をしなかつたから、同日の経過とともに右物件の引渡義務を負担するに至つたに拘らず、言を左右にして原告会社の引渡要求に応じない。かくするうち、国税局の差押により現在別紙目録第一物件は堺市耳原町一六八八番地東洋敷物株式会社内に、別紙目録第二物件は大阪市東区杉山町一番地国税局倉庫内に保管されるにいたつた。
よつて、原告会社は被告会社に対し別紙目録記載の物件の引渡を求める為本訴に及んだと述べ、
被告の(一)の主張に対し原告会社主張の取引並びに本件譲渡担保契約は岩井邦平が自己の私利を図る為被告会社名義を冒用してなした不正取引ではないし、岩井邦平が被告会社の代表取締役である以上被告会社名義の文書を偽造するということはあり得ないから、甲第一号証の契約書を偽造したとの主張は偽造の意義を曲解した議論である。
被告の(二)(三)の主張に対し、本件譲渡担保契約設定当時被担保債権として、原告主張の債権が存在していたことは当事者間に明白で別に争がなかつたし、またその額も取引継続中であつた為将来増減することが自明であつたところから、甲第一号証の契約書にはこれを記載しなかつたものであつて、これが為に本件譲渡担保契約の効力に消長をきたすものではない。また、被告会社の倉庫は唯一であることは当事者間に明白であるから在庫商品一切ということで譲渡担保の目的物は自から特定されている。仮に百歩を譲りこれにより特定されないとしても、担保権実行の際までに特定すれば足るのであるから、原告会社の指定により目的物を定めうるとの約旨に基き既に本訴提起前被告会社の立会の上、在庫商品を点検し、担保目的で所有権の移転すべき目的物の範囲を特定したから、この点に関する被告会社の主張もまた理由がない。
被告の(四)の主張に対し、本件譲渡担保契約は、被告会社に営業に従つて処分する権能を留保して、その営業用の在庫商品一切を債権担保の為原告会社に移転することを目的としてなされたものであつて、組織的全体としての営業財産の譲渡すなわち、原告会社が被告会社の営業を継続し得るが如き状態における営業財産の譲渡でないから、これをば営業の譲渡と見るべきではないし、また仮に本件譲渡担保契約が営業一部譲渡に該当するとしても、譲渡の目的物は商品に限られ、その他の被告会社の営業財産は含まれないから、かかる契約は重要ならざる営業の一部譲渡としてたかだか取締役会の決議事項たるに留まるものであつて、株主総会の決議事項ではない。仮に、本件譲渡担保契約が株主総会の決議事項であるとしても、営業財産の一括譲渡のような行為は取引安全の見地よりして一般第三者の保護を考慮しなければならない行為であるから、株主総会の決議を経ていないことを知らないで契約を締結した原告会社に対してはその無効を以て対抗し得ない。と述べた。<立証省略>
被告訴訟代理人は原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とするとの判決を求め、答弁として、原告主張の事実中、原、被告会社の各業務内容及び両者間に昭和二七年四月一一日頃から同年七月一一日頃まで取引関係があつたこと、その頃岩井邦平が被告会社の代表取締役であつたこと、被告会社がその後営業不能に陥つたこと、別紙目録記載の物件が国税局より差押をうけ現在原告主張の場所に保管されていることはいずれも認めるが、原被告会社間の取引関係から生じた債務は既に決済を了している。その余の事実は否認する。
(一) 仮に被告会社の当時の代表取締役岩井邦平が昭和二七年七月一一日以後被告会社名義で原告会社と取引をなし、その結果原告会社に対し債務を負担し、甲第一号証のような譲渡契約を締結したとしても、それは岩井邦平が原告会社大阪支店長吉益正次と相謀り自己の私利を図る為その権限を乱用してなした不正行為であり、したがつてその為作成された甲第一号証の譲渡契約書も結局岩井邦平が被告会社の名義並びに印章を冒用した偽造文書というべきである。されば被告会社は岩井邦平のなした右契約に基き原告会社に対し別紙目録記載の物件を引渡す義務を負担するいわれはない。
(二) 仮に右(一)の主張が理由がないとしても、甲第一号証の譲渡契約書に担保される債権の記載がないことからわかるように被告会社は在庫商品の所有権を原告主張のように担保目的で移転する契約をしたものではないから、これを前提とする原告の主張は理由がない。
(三) 仮に原告主張のような譲渡担保契約を締結したとしても、その性質上被担保債権額は少なくとも一定しておらねばならない筈であるのに、極度額の定めのない将来増減変動する債権を無制限に担保することを目的としてなされたものであるから無効であるのみならず、内容の変動する在庫商品一切を担保目的の為に譲渡するという契約によつては目的物件が特定されないから、これに基き別紙目録記載の物件の所有権が原告会社に移転する由がない。
(四) 仮に右主張が理由がないとしても、電気器具の販売を目的とする被告会社において本件譲渡担保契約に基き被告会社の在庫商品の全部を一括処分するがごときは恰も営業譲渡に比すべき重要事項であつて、かかる重要事項に関する契約の締結に当つては、株主総会の決議を要するものというべきにかかわらず、右契約の締結は株主総会の決議を経ずに、岩井邦平が専断的になしたものであるからその効力はない。
(五) 仮に右主張が理由がないとしても、本件譲渡担保契約は将来引続いて被告会社に対し金融上の援助を与えるとの原告会社の言を信じて、被告会社が原告会社と締結したものである。にもかかわらず、原告会社は右契約締結後その前言を飜し、被告会社を援助しなかつたので、被告会社は遂に休業整理の已むなきに立至つた。もし、被告会社において、原告会社が金融上の援助を与えないことを知つていたならば、当然契約を締結しなかつたものであるから、法律行為の要素に錯誤がある場合として右契約は無効である。
以上の理由により原告の本訴請求に応じられないと述べた。<立証省略>
理由
原告会社は鉄網二次製品の卸売を、被告会社は電気設備器具類の卸売を営むものであつて、かつて両者間に取引関係があつたこと、岩井邦平が昭和二七年頃被告会社の代表取締役であつたことはいずれも当事者間に争がない。
証人吉益正次、亀井照夫、岩井邦平の証言により真正に成立したと認める甲第一乃至第一九号証(但し甲第一号証、第一八、一九号証はいずれも被告会社の印影の成立は当事者間に争がない。)成立に争のない乙第二号証を綜合すると次の事実を認定することができる。
被告会社は昭和二七年初頃から原告会社より商品を買入れていたが、次第に被告会社は営業不振を来し、原告会社宛商品代金支払の為に振出していた約束手形及び小切手の支払をなし得ない状態となつたので、当時の被告会社代表取締役であつた岩井邦平は、かねてから知合である当時原告会社大阪支店長であつた吉益正次に対し、原告会社に対する右手形等の債務の履行猶予を求めるとともに、被告会社の営業を継続し、その再建を図る為金融方を依頼した。原告会社としても、被告会社に対し既に相当多額の債権を有していた関係上、被告会社を潰すことにより却つて債権の回収が不能となることを考慮して、右岩井邦平の懇請を容れ、被告会社に対し既存の債務を一時猶予するとともに、爾後被告会社に融資することによつて、その営業の継続を図らんとしたのである。かくて同年八月以降被告会社は原告会社より融資を受けて、その営業を継続することを得たのであるが、それにも拘らず被告会社の経営は一向に好転することなく、同年一〇月二七日までに被告会社は原告会社に対し商品代金及び融資金支払の為の振出した約束手形金及び小切手金の総額は金三〇、六二二、三五六円の多額に達するに至つた。ここにおいて、吉益正次は右同日原告会社の為に岩井邦平との間に右原告会社の債権を担保する為被告会社所有の在庫商品について次のような内容の譲渡担保契約を締結することとなつたことが認められる。
(1) 被告会社の在庫商品を一括して原告会社の被告会社に対して有する前記債権の担保の為その所有権を移転する。
(2) 原告会社は被告会社をして右在庫商品を営業に利用せしめる為これを被告会社に占有せしめ、在庫商品を構成する商品を営業に従つて処分する権能を与える。
(3) 被告会社において在庫商品を構成する商品を販売した場合は、被告会社はその販売代金の中から該商品の時価相当額の一割の金員を在庫商品の利用の対価として、原告会社に支払う。
(4) 被告会社の処分により在庫商品が減量した場合は、在庫商品の価額が本契約締結当時の価額に相当するまで新に被告会社が購入した商品を以てこれを補充する。
尤も甲第一号証には、被告主張のように被担保債権の記載のないこと明かであるが、このことは必ずしも前記認定の妨げとはならないし、前記認定に反する証人岩井邦平の供述部分は当裁判所の信を置けないところであり、他に右認定に反する証拠はない。
そうだとすると被告会社は前記債権担保の為被告会社の営業に従つて出入することにより内容の変動する在庫商品を一括して譲渡担保の目的としたこと明かである。
被告は、原告会社に対する被告会社の債務は岩井邦平が原告会社大阪支店長吉益正次と相通じ自己の私利を図る為にその権限を乱用してなした不正行為に基くもので、甲第一号証の譲渡契約書も、右両名が被告会社の印章を冒用して作成した偽造文書である旨主張するので考えるに、証人坂口玉之、岩井邦平の証言、被告会社代表者森信行本人尋問の結果によると、岩井邦平の被告会社の経営が当を得ず杜撰であつたが為、被告会社の再建がならずその衰運の歩を速めたことを窺知することができるけれども、被告の全立証によるも、岩井邦平がその権限行使につき、吉益正次と相通じ、その私利を図る為権限を乱用して前記のような行為をなしたものと認めるような証拠はなく、却つて前記認定のように被告会社の営業の為に原告会社に対し前記のような小切手並びに約束手形金の債務を負担し、その担保の為前記の譲渡担保契約を締結し、甲第一号証のような契約書を作成したものと認められるから、被告のこの点に関する主張は理由がない。
次に被告は甲第一号証の譲渡契約書には被担保債権の記載がないから、譲渡担保契約ではない。仮に譲渡担保契約だとしても、極度額の定めのない将来増減変動する債権を無制限に担保する為になされたものであるから無効である旨主張するが、右主張の理由のないことは既に認定したところから明かである。
そこで本件の主要な争点である内容の変動する在庫商品一切を担保目的の為に譲渡するという契約によつては目的物件が特定されないから、これに基き別紙目録記載の物件の所有権が原告会社に移転するわけがない旨の主張につき考えることとする。
なるほど、前記認定のような構成物の絶えず変動する在庫商品を一括して担保の目的の為に所有権を移転する契約は、所有権の移転した商品に対して担保権設定者がその処分権を留保し、担保権設定者より第三者に譲渡された商品が譲渡担保の拘束から離脱し、第三者がその所有権を完全に取得する法律関係並びに、譲渡担保契約成立後新に在庫商品として補充された商品につき譲渡担保の拘束を受ける法律関係を分析して正確な理論構成をなすことの困難を理由として、かかる契約の効力を全面的に否定し、或はまた、譲渡担保契約締結の際には、倉庫にして特定する限り、これを構成する商品の範囲は明確であるから、契約が一個だとしても当然これを構成する商品につきそれぞれ所有権移転の効果を生じ、かくして所有権の移転した商品が処分された場合には右商品の所有権は担保権設定者に復帰するとの解除条件付に所有権が譲渡されたものであるとして、右の限度において有効としつつも新しく補充されて在庫商品も構成するにいたつた商品については譲渡担保の効力を否定する等の見解が存在し、あながち被告の主張が理由のないものでないことを肯かせるものがないではないが、前者の見解は、出来得る限りの財産を担保化して、出来る限り多額の信用を得んとする現代の経済界の必要の前に目を蔽い、殊に法律上認められた担保方法を利用しうる財産を有しない中小企業者をして営業用動産を利用する方法による低利金融の道を塞ぎ対人的信用を基礎とする高利金融の彼岸に走らせる結果となり、譲渡担保の社会的作用を否定し、既存の形式論理にとらわれて法律の社会的作用を理解しないとの譏を免れないし、また後者の見解は在庫商品の譲渡担保を認めた意義の大半を失はしめることとなり妥当なものとはなし得ない。かくして、在庫商品のような物の集合物はこれを構成する商品を離れて一個の物を形成しないことを理由とし各個の構成物たる商品につき幾多の譲渡担保が成立するとの従来の理論を前提としながらも、前記のように処分された商品については解除条件付に所有権を譲渡したものであり、新に補充された商品は譲渡担保契約中に予め停止条件付に所有権移転契約が存するものと解し、内容の変動する在庫商品の譲渡担保を有効とする見解も行はれるわけであるが、この理論は法律理論としては極めて精致なものであるとはいいながら、変動常なき在庫商品を一括して譲渡担保の目的とした場合には各構成部分に分析説明することは当事者の意思に合致しないのみならず、現代の経済組織の下においては、在庫商品のような集合物は、その構成部分を離れた全体として独立の経済的価値を認められるものであり法律上も排他的支配の可能性を以て物の本質と見得る限り、これを一物と認めて所有権殊に担保の目的の為に譲渡の対象となしうるものとすることが法律の目的にも適合し、これを認めることにより公示の原則を破ることにならないことを看過した議論として左祖し得ないところである。
されば当裁判所は前記に述べた理由から在庫商品の譲渡担保はこれを構成する個々の商品を離れた一個の集合物とみて、その一個の所有権を担保目的で移転する契約であるとの見解が正当であると考えるから、本件の場合においても、前記認定の譲渡担保契約により被告会社は担保目的で一個の集合物である在庫商品の所有権を原告会社に移転し、右在庫商品につき両者間に前記認定のような内容の利用関係を設定したものと認めるを相当とする。
したがつて、被告会社は前記利用関係を設定する契約により在庫商品を営業目的に利用し、個々の商品を営業に従つて処分するとともに、右契約に基き新しい商品を補充するものであり、また在庫商品を構成部分から離された商品は原告会社の集合物としての在庫商品の上に有する所有権の内容たることから離脱し、新に在庫商品の構成部分となつた商品がその内容に加えられることは、原告会社が一個の集合物としての在庫商品の上にのみ所有権を有することの当然の結果である。
果してそうだとすると、別紙目録記載の物件が在庫商品を構成する物であると認められる限り契約当初から在庫商品を構成していたと否とに関係なく本件譲渡担保の拘束を受けること明かである。そうして証人吉益正次、亀井照夫、岩井邦平の証言によると、被告会社の倉庫は唯一であり別紙目録記載の物件は前記認定の原告会社の債権の最終の弁済期当時在庫商品を構成していた商品であるのみならず、本件譲渡担保契約締結当初から存在していたことが認められる(この認定に反する被告会社代表者森信行本人の供述部分は信用しない。)から、この点に関する被告の主張は採用の限りではない。
次に、被告の、物品の販売を目的とする被告会社においてその在庫商品一切を一括処分するが如きは恰も営業の譲渡に比すべき重要事項であるから株主総会の決議を要するものというべきに拘わらず、これを経ずに締結された本件譲渡担保契約は無効であるとの主張につき考えるに、本件譲渡担保契約が株主総会の決議を経ることなく締結されたことは証人岩井邦平の証言により窺えるところである。しかしながら、右契約は既に認定した通り被告会社の営業継続を前提としてなされたものであり、その対象も営業用の在庫商品を目的とするもので、独立的経営の基礎となり得るような組織的一体をなす機能的財産の譲渡を目的としたものではないから、営業譲渡契約乃至これに比すべき契約でないこと勿論である。したがつてかかる契約の締結は寧ろ代表取締役の通常の業務執行の範囲に属するものと解するを相当とするから、株主総会の決議を必要としない。したがつてこれを前提とする被告のこの点の主張は採用の限りではない。
最後に、被告の錯誤を理由として本件譲渡担保契約は無効であるとの主張につき考えるに、被告提出援用に係る全証拠によるもこれを認めるに足るような証拠はなく、却つて本件譲渡担保契約は既に認定した事情の下に締結されたもので、被告主張のような事情により締結されたものでないことが認められるから、この点の被告の主張も亦採用し得ない。
そうして前記甲第二乃至第一七号証証人吉益正次、亀井照夫、岩井邦平の証言、被告会社代表者森信行本人尋問の結果によると原告会社の被告会社に対する前記約束手形等の債権は最終の弁済期である昭和二八年二月八日を経過してもその支払がなされなかつたことが認められるから、本件譲渡担保契約により被告会社が経営不能に陥つたときは別紙目録記載の物件を引渡す約定があつたことについては、原告の立証によつて認められないけれども、原告会社は少くとも被担保債権の弁済期である昭和二八年二月八日の経過と同時に前記担保権の実行として、その在庫商品上の所有権に基き別紙目録記載の商品の引渡を求め得ることになつたものといわねばならない。そして、その後別紙目録記載の物件は国税局の差押により現に第一物件は堺市耳原町一六八八番地東洋敷物株式会社内に第二物件は大阪市東区杉山町一番地国税局倉庫内に保管されていることは当事者間に争がないから、被告会社は原告会社に対し別紙目録記載の物件の引渡義務あること勿論である。
よつて、原告の本訴請求は理由があるから認容し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条、仮執行の宣言につき同法第一九六条を適用し主文の通り判決する。
(裁判官 相賀照之 中島孝信 仲江利政)